ケルンボード

北山湿地

池金町上北山16番5
(岡崎I.C.より国道1号と県道324号経由で約8km)

更新日:2021.04.26

四月上旬の岡崎市、実家から出発して北上、国道一号線(左に行けば名古屋、右に行けば東京)を横切ってさらに向こうの山の方へ。やわらかいぼたぼたの桜っぽい花を咲かせた木やらイチゴ狩りのビニールハウスなどを横目に、北山湿地へ向かう。
「飛び出し注意!こどもがいます」など書かれた看板のある小さな集落を抜けて、山に近づいて、車がやっとこ一台通れるような細い道をぐんぐん進むと木立の中に静かな駐車場、そこに車を停めて外に出れば、ひんやりとした空気。さくさくと歩いて北山湿地の案内のある入り口へ。
入り口には、北山湿地の地図と季節の植物の写真ののった大きな案内板が立っているので、これを見て、いまの季節にはいったいどんな植物が存在しているんだろう、と予備知識を仕入れていくのがよい。ひとしきり看板を眺めて満足していざ湿地に向かう道にふみこむと、さっそく「マムシ、スズメバチに注意」という貼り紙に出くわしてちょっとビビったりするけれども、まだ春なのでスズメバチはおとなしいだろう、とか、冬眠明けのマムシを踏んじゃ気の毒だからなあ、などとフォローをして、危険は割り切って進むしかないのである。

北山湿地には、AからKまでのアルファベットの名前の付いた湿地が点在していて、それをめぐるように山の中の歩道がいいぐあいに整備されている。
歩き始めてすぐに、道の脇にシダ植物がもりもりと生えているのが見えて来る。シダ植物というやつ、中学校とか高校の理科の授業に習ったという記憶があるのだけど、いまいち覚えていない。
ぼんやり覚えていることといえば、胞子で増える植物で、オスとメスがあって、葉っぱの裏に胞子がでるぶつぶつしたものがくっついてて、ぎょっとするんだよなあ。そんなことを思い出しながらシダ植物を見ていると、それぞれの上のところに先端がくるっと丸まった何かが生えているのが見える。春の山菜、ゼンマイとかこごみとか、ああいうのに似た何か。春特有の、新芽みたいなものなんだろうか。
なんにしても、やけに美味しそうに見える。天ぷらなんかにしてみたい。ここに恐竜がいる時代だったら、まっさきにボリボリと食べられてしまう一番美味しいところじゃないかな。

ご覧ください、あの美味しそうな芽(?)を

しばらく歩くと、いかにも「自然のなにかを観察するのが大好きです」といった出で立ちの(胸にいっぱいポケットのついてるジャケットとかを羽織っている)おじさん二人が木の歩道の上で、なんやら少し興奮した感じで下を指して話しているのが見える。
しばらくしてこちらに気づいたおじさん二人が、アッ、といった顔をして、あそこに◯◯が咲いていますよ、と嬉しそうに指し示してくれる。その先を見ると、青紫の小さな花が咲いているのが見える。
ハハア、と見ていると、向こうの湿地に◯◯がもう咲いていましたよ、などと教えてくださる。なるほどなるほど、と耳に入れるも、それから一〜二分してすぐにその名前を忘れてしまった。山の植物の名前はすぐに忘れてしまう。えらく長かったり耳馴染みがなかったりするものだからねえ。

ハルリンドウです

それからどんどん奥へ歩き進める。
コバノミツバツツジという名前の(これはあとから調べました)ピンク色した花が控えめに咲いているのが見えてきれい。
ツツジといえば、街路樹でよくみかける大きな葉っぱと大きな花が思い出されるけど、山のツツジはすっと背が高くて、花はとってもスマートなのだった。

コバノミツバツツジですよ

入り口から700メートルほどで、この北山湿地いちばんの花形湿地、A湿地に到着。
この大きな湿地は、ぐるっと一周できるように木の歩道が整備されている。
ひらかれた湿地には太陽のひかりがさあさあとそそいで、風も気持ち良く流れている。のんびりと歩道を歩いて、下の湿地に生えた見慣れぬこまかな植物や、水の表面の虹色を見るのもたのしい。
この、水が虹色に光るのは湿地でよくみられるもので、鉄バクテリアとよばれる細菌によるものなんだそうだ。

そしてこれはナンカイイワカガミ

真ん中あたり、水がたくさんたまっているところを見ると、小さな黒色のものがたくさんうごめいているのが見え、よくよく見てみると、小さなオタマジャクシの群生なのだった。
生まれたばかりです、といった感じの小ささで、あのたくさんのうちどれぐらいがカエルになれるんだろう。
子供の頃に読んだ絵本で、何かの動物がオタマジャクシたちをおおきな杓子ですくって飲み込んでしまうシーンがあり、その動物のおなかにつるつると滑り落ちていくオタマジャクシたちを想像して、彼らが育ったらきっと気の良い愉快なカエルたちになったろうに、となんとも言えないものがなしさを味わったことを思い出す。

オタマジャクシの粒粒がお分りいただけるだろうか

A湿地まで到達したら、そのままUターンして帰るのも良いのだけど、そのまま直進して大回りをし、尾根道を歩いて帰るのもよい。山を少しだけ登ることになるしなかなかの距離にはなるけれど、山の向こう側の家を木の間から眺めることができたりして、気持ちの良いもんです。

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