ケルンボード

ニワフルーツパーラー

名古屋市中区上前津1丁目1−1
(上前津駅から西に歩いて数分)

更新日:2021.03.27

洋服をいっぱい着込む、というのがどうにも苦手なのだけど、この頃はいよいよ春という陽気に「もう今日は大丈夫だろう」と上着を羽織らずに出かけるチャレンジが出来る日が続いていて、たいへん嬉しい(時々チャレンジに失敗して、寒さに震えて帰る日もあるけども)。春ってのはいいですね。
そんなわけで、トレーナー一枚で揚々と自転車に乗り込んだ日曜日の朝、向かうのは大須、ニワフルーツパーラーです。
ニワフルーツパーラーは果物屋さんに併設のフルーツパーラーで、ガラスのドアにはその季節のオススメの果物ジュースの張り紙がされている。今日はなんだろうと見てみると、ポンカンと、いちごミルクジュースがオススメとのこと。
隣の果物屋さんの店先に並んでいるポンカンはつやつやと丸く座っていて、そりゃあ美味しいであろうなという風貌なのだけど、今日はイチゴにします。なぜかというと、春だからです。春は、ピンクの食べ物を食べたくなる季節ではないでしょうか、いかがですか。イチゴの何かとか、桜の何かとか、特に目立った旬と言うわけでもないだろうけどエビの何かだとか。まあ、ようするに、浮かれているんですね。

手描きの果物メニュー可愛い。店内にもたくさんあります。

ガラスのドアを開けると、キッチンを囲む形のカウンター席と、四人掛けのテーブルがひとつ。とってもキュッとした空間だ。すでに席は7割がた埋まっており、カウンター席にするりと座らせていただく。
お客さんたちの年齢層は高く、ほとんどが常連さんという雰囲気で、おかみさんの作ってくれる小松菜ジュースやら人参ジュースやらを飲みながらお話に花を咲かせていて、なんというか、とっても健康な昼間のスナック、という感じだ。
カウンターの上には新聞紙、奥にはテレビが一台、朝のニュース番組を放送していて、そういったものを見ながらしばらく待つ。カウンター席の椅子はだいぶ背の高い作りのため、カウンターの中でおかみさんが果物をちゃっちゃと切り分けたり、香ばしく焼きあがったパンにマーガリンをじゅうと塗ったり、新鮮な果物がミキサーにごろごろと入れられて一気にジュースに仕上がる様子を見ることもできる。そうして最高に嬉しいひとさらとひとグラスが仕上がったら、おかみさんからそれを受け取って、最高のモーニングの始まりです。

1日の始まりに食べる果物は黄金、みたいな言葉ありますよね。それ。

いちごミルクジュースは、いちごの赤色と牛乳の白色が完全に混ざり切って、フラミンゴを思い出すような楽しいピンク色。ストローをさして吸い上げると、その見た目とは裏腹にとてもやわらかい味がする。甘みと酸味と、牛乳のまったりとした味。ときどき舌に感じる種の粒粒した感触もよい。
パンはきつね色にまんべんなく焼きあがっていて、マーガリンがつやつやとしていて、持ち上げるとふわふわ湯気が立ち上り、かじれば表面の香ばしいのと塩っ気とふかふかの白いとこと、一気にいろんな美味しいが湧き上がって、トーストってのは毎度毎度美味しくてすごいなー。
そしてトーストの横には果物屋さんらしく、カットされたオレンジ、バナナ、メロンが添えられている。オレンジは、食べやすいように皮と実のとこのあいだに切れ込みが入れられているタイプ。はっきりとした酸っぱさの爽やかさで美味しい。バナナはちょうどいい熟し具合で甘くねっとりしていて美味しい。バナナはほんとにすごい果物だよなあ、こんなに甘くて、安いし、食べやすいし(皮のむきやすさったらないですね)。そしてメロン。メロンなんて、ふつうに暮らしていたら全然食べる機会がないので、こういうふうにちょこっと食べられるのはとても嬉しい、贅沢な気分になってしまう。
カウンターに座るマダムたちは、最近アボカドにはまっていて毎日食べているという話や、大通りの駐禁についての話や、近所の評判の目医者さんについての話などで静かに盛り上がっている。自分はとくにその会話に加わるわけではないのだけど、ご近所のお話になるほどねえと聞き入ってしまうことが多くて、面白い。テーブルのお客さんが退店されると、カウンターに座っていた一番長老に見えるマダムがよいしょと椅子からおりて、そのテーブルを片付けに向かった。わりと力技に見える積み方でお皿とグラスをカウンターに引き上げて、おかみさんが「悪いわねえ」と声をかけ、「いいのいいの、昨日はあんまり満員だったで、ぜんぜん動けんかったもんね」とマダム。マダムは昨朝も来店していたらしい。
ところで、ニワフルーツパーラーに定休日はなく朝から夕方まで、日曜日のみ半日営業ということらしいのだけど、カウンターのなかのおかみさんはいつも同じ方なので、一週間休みなしということなんだろうか。それをいつか聞いてみようと思いながらいつも忘れて、果物にすっかり満足してお店を出てしまうのだった。

TOPに戻る