ケルンボード

セゾン

名古屋市瑞穂区瑞穂通3−8
(瑞穂区役所駅から南に2〜3分)

更新日:2021.03.18

ロールプレイングゲームにおける回復の道具(ポーションとか、やくそうとか、)が現実に必要となった水曜日、一番に向かった薬膳ラーメンは麺の売り切れで閉店、次に向かった小洒落た喫茶店は定休日で、吹く風は激しく時間が深まるごとに冷たく、こういう日もあるよとあきらめて家に帰る途中で、行こう行こうと思いながら一度も行ったことのない洋食屋さんが近くにあったことを思い出す。
環状線ぞいのセゾンというお店は三角屋根の一軒家で、果たして開いているだろうかと向かうと遠目からもわかる回転灯の光と、近づけば屋根の頂点からななめに垂れた装飾がちかちか、窓からは暖かい光がもれていて、万歳の気持ち。初めて行くお店でさらに洋食屋ということで、いったい予算はいかほどかと不安になるも店先にメニューが置いてある親切さ。そこに並ぶ洋食はお手頃価格で、よしよしと安心してドアを開ける。
お店に入ると、真ん前の奥にキッチンが見えて、白髪のおやじさんが調理している後ろ姿が見える。学生さんといった感じのウエイトレスさんに道路側窓際の席に案内していただき、メニューから迷いに迷って煮込みハンバーグを注文。

なんて素敵なテーブルペーパー

窓の向こうは環状線の大きな道路なのだけど、その窓辺にはうさぎの置物やら、天使らしい陶器の少年やら、プラスチックのパズル?やら、なんだかいろんなものが不思議なラインナップで配置されており、このお店の長さ(31周年だそうです)を感じる。
一番右には細長いライトが置いてあり、透明の中に緑色の液体がふわふわと、くっついたり離れたりしながら動いているもので、これは懐かしいなあ子どもの頃に憧れたやつだよ、と興奮しながら、これはそもそも何という名前なんだろう、と早速調べてみるとこれは「ラヴァライト」という名前のものらしく、ラヴァ、とは溶岩の意味。
1960年代にイギリスのエドワード氏が発明したのが始まりで、1990年代にはラヴァライトにまつわる権利をマスモス社に譲渡。いまでも1960年代当時のオリジナルラヴァライトや新世代型のラヴァライトをマスモス社ウェブサイトで購入することができるらしい。 (マトモス社のウェブサイト)
そのウェブサイトの中のいろんなラヴァライトに夢中になっていると、ウェイトレスさんがスープを持ってきてくださる。カップに入ったスープはコーンポタージュ。上にクルトンが二個乗っていて、一気に嬉しくなる。机に4本並んだカトラリーの端、丸っこいスプーンを手に取りスープとクルトンをすくって一口、美味しい。
次の登場はミニサラダで、レタスがシャキシャキとしていて美味しい。
その次に運ばれたパンは、ゴマと丸パンの二つで、バターナイフにはミミズクのかたちをしたバターがのっていて非常に可愛らしい。

ミミズクのバターです

お店にはもう一組、白髪のご夫婦が食事をされていて、その机にステーキが運ばれると「よっしゃ!」という旦那さんの声が聞こえてきて、おうおう、良かったですねえと思う。
ふたたび窓際のラヴァライトを眺めたりしていると、「お待たせしました」とウェイトレスさんの声。「器がお熱くなっていますのでお気をつけください」と置かれた煮込みハンバーグは、丸い器に丸いハンバーグ、周りに人参とインゲンとサツマイモの輪切りの添えられた、たいへん可愛らしいものだった。

なんだか全部丸くて、かわいい

さっそくナイフとフォークを握る。この、両手にカトラリーを構える瞬間が、洋食屋さんの醍醐味の一つですね。
いい具合に焼き目の入ったハンバーグにナイフを入れると、肉汁とともにふわりとくずれて、下のスープになじんだひとかけをフォークですくって口に運ぶ。かむごとに肉の美味しい味がひろがって美味しい。合間に食べる野菜たちもあまくて美味しい。パンにはバターを惜しげなく塗って食べる。
キッチンからは、ウエイトレスさんとおやじさんが何か談笑している声が聞こえて、それがものすごく優しい声で、よけいに美味しい時間に思えるのだった。
食べ終えて満足、お会計はおやじさんにしていただく。近くでみると、とてもジャムおじさんに似てらっしゃるなあ。ウエイトレスさんが奥のご夫婦にデザートをサーブ、「お誕生日おめでとうございます」「おお!」と、にぎやかなお店をあとにする。回復しました。全回復。

TOPに戻る